パリのレバノン(日常篇3)

パリでしたいこと。
大人になってからパリに2年間の留学をしていたラボのFUMINA。
偶然にも日本でパリっ子のフランソワと出会う。
今、パリに帰ったらしたいこと、書いてみる。

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パリのアパルトマン
パリのレバノン(出会い篇)
パリのレバノン(日常篇1)
パリのレバノン(日常篇2)


レバノンでは、前の記事でも書いたように、ミントを本当にたくさん、山のように使う。お料理はもちろん、紅茶にもミントたっぷり。

それから、カルダモンも。中東の菓子によく使われていて、ピスタチオ、ローズとの相性が素晴らしい。(トップ写真のお皿の真ん中にあるのが、はちみつたっぷりのレバノンの菓子)

また、定番中の定番、カルダモンコーヒーもレバノンの代表的な飲み物のひとつ。

おじいちゃんは、年季の入った、何十年も継ぎ足した秘伝のタレでも出てきそうな大きな鍋(真っ黒?)に、たっぷりの湯を沸かして、

そこに粉コーヒー(インスタントじゃなくて)をわさっと、
カルダモンもわさっと、
ぐつぐつと煮込み、上澄みをすくっていただく。
(レシピは…いいかな、やらなくて?)

鍋の様子を見て、初めての時は本当にこわごわ、おじいちゃんに飲め飲めと勧められるがまま、喉をゴクリと鳴らしてひとくち。

?お?

お、おぉ?

意外といけるではないか!!!!

嘘が苦手な私は気持ちが表情に丸出しらしく、おじいちゃんはその顔を見て、ウィンク。

?口臭予防♡

とひと言?
お年を召してもエチケットは大切ですね。

おじいちゃんは日本映画の大ファンで、OZU監督の作品や、MIFUNE!と言って、作品の素晴らしさについて、よく語っていた。

ある日、本屋さんの営業中、店頭でミントの葉をむしり取り続ける私に、

?FUMINA、何か日本のおすすめはあるか?

と聞かれたので、たくさんの素晴らしい日本人がいるけれど、おじいちゃんのお年も考えて、おもしろ半分、私自身、本当に歌声が素晴らしいなと思っている、細川たかしさんをおすすめした。お人柄も大好き。

おじいちゃんに、この動画を見せると、静かに観ていた。日本語なので、何を言っているか分からないと思ったのに、ちょっぴり感動して、うるうるしていたのを覚えている。

私は、故郷を思って歌ってるんだよ、とそっと教えてあげた。

?…

聴き終わるとおじいちゃんは遠くを眺めた。

出会った時もそうだけど、言葉が片言だったり、通じなくても、目に見えないけど、気持ちを込めると、なにかは伝わる、ということを本当にここでよく学んだ。(相手にもよるかもしれないけれど)

あとで、いろいろ気付いたり、分かったことだけど、おじいちゃんにとっての故郷はレバノン。国の情勢で、レバノンにいられなかった。それでパリにたどり着いて、生きるために必死でチャンスを掴んで、やっと本屋さんを構えた。しかもパリのど真ん中。

きっと私が想像もできない壮絶な過去。
だからこそ、あんなに優しかったのかな、と思う。

パリに帰ったら、レバノンの甘いお菓子とカルダモンコーヒーを。
おじいちゃんを想って。

パリに帰ったらしたいこと。

FUMINA

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